【連載】胴長短足2の⑧靴の機能の仕方と下駄の機能の仕方の違い②

スポンサーリンク

2010.10.5
「なぜ日本人の体型は胴長短足だったのか」2の⑧
・靴の機能の仕方と下駄の機能の仕方の違い②

最後に、『踵の動揺性の制御』について説明していきます。靴の踵部分は硬く作られています。E・S・モースも靴の踵の硬さについて指摘していますし、日本のスポーツシューズメーカーでも、踵部分を踏まないように注意を促しています。でも、なぜ靴の踵が硬く作られているのかご存じでない方も多いのではないでしょうか。スポーツシューズに付属している取り扱い説明書から引用してみます。

(ニューバランスジャパン シューズ取り扱い説明書より)
「 かかと履き口部は絶対つぶさずにお履きください。シューズの機能で重要な役割を果たしているヒールカウンターが、 かかと部に内蔵されています。かかと履き口部を踏んだまま立ったり、歩いたりするとヒールカウンターがつぶれ、変形したり破損したり、シューズ本来の機能が失われ、足の動作が不安定になりケガの原因になります。」

シューズの踵(以下 ヒールカウンター)には、どんな本来の機能があり、足の動作がどのように不安定になり、その結果どういったケガが起こり易いのか、私なりに補足して説明を続けてみたいと思います。

 

 

 

 

 

 

(左写真:回外 中央写真:回内)

足の踵の骨とアキレス腱のなす角度を、スポーツ医学などで『レッグヒールアライメント』と呼びます。
アキレス腱に対して、踵の骨が外に傾く動きを『 回外 』動作、踵の骨が内側に傾く動きを 『 回内 』動作といいます。歩行やランニングで地面を蹴る際に、足首の曲げ伸ばし動作が行われますが、この時に踵の骨は回外と回内動作を繰り返しています。

この回外動作が過度に行われると、足関節の外側を支えている靭帯( 前距腓靭帯、踵腓靭帯、後距腓靭帯 )が損傷(捻挫、断裂)され、過度な回内動作が加わると足関節の内側を支えている三角靭帯靭帯損傷が起こります。

また、この回外、回内の姿勢を長い期間続けていると扁平足や外反母趾、X脚やO脚の原因となります。長期のX脚やO脚の姿勢は膝の靭帯や半月板損傷の原因となります。下の写真を見ると、レッグヒールアライメントの異常が膝のポジション異常にまで影響を及ぼしているのが解るかと思います。

 

このように、靴の踵(ヒールカウンター)は踵の骨の回内と回外動作が過度に行われないように制御し、足首や膝の靭帯損傷を防いでくれているのです。また、レッグヒールアライメントを整えることで、X脚やO脚になるのを防いでくれています。

足首の関節は、足首を曲げた時に関節の適合性が高まり(関節の遊びが少なくなり)、踵がグラグラし難い構造になっています。逆に、足首を伸ばした時は関節の遊びが大きくなり、踵がグラグラしやすくなっています。

【足首を曲げる動作】  【足首を伸ばす動作】

下駄での歩行では、足首を曲げる動作を中心に行うので、踵がグラグラし難くなっています。また、足の指を握る力を使って履きものと足を固定しているので足首の関節は安定します。
靴での歩行では、足首を伸ばす動作を中心に行います。また、履きものと足の固定には足の指の力は必要なく、履きものの機能(甲被と靴紐、ヒールカウンター)に任せている状態となります。甲被と靴紐で足の甲を、ヒールカウンターで踵を固定しないと、靴は充分に機能しません。

写真は下記の文献から引用:
『身体運動の機能解剖学』監修 栗山節郎 翻訳 中村千秋 土屋真希 医道の日本社
『日本体育協会公認アスレティックトレーナーテキスト』

コメント

タイトルとURLをコピーしました