【連載】胴長短足2の②道具の西洋化

2010.07.22
「なぜ日本人の体型は胴長短足だったのか」2の②
・道具の西洋化

当時の日本政府は、西欧の文化を外形的に模倣することで、やがて精神的な内容へと進化していくだろう、と考えていたようでした。当時の日本では、この外国人の風習を上っ面だけを真似る文明開化に否定的な意見も多かったようです。

足が痛いのに我慢して靴を履く人、やたらと髪を伸ばして開花をきどる人、お米を食べないでパンを食べる人などが、その非難の対象となりました。(何だか現代とあまり変わっていない気がしておかしいですが。)夏目漱石も、日本の文明開化を『西洋の開花は内発的であって、日本の現代の開花は外発的である。』『現代日本の開花は皮相上滑りの開花である』と批判しています。

しかし、西洋の文明に追いつくため、多くの西洋の道具が取り入れられ、日本人の生活はどんどん西洋化していきます。

○下駄・草履 → 靴
○和服    → 洋服
○ちゃぶ台  → テーブル
○座布団   → 椅子・ソファー
○畳     → フローリング
○和布団   → ベッド
○筆     → ペン

上記以外にも、これまで日本に取り入れられてきた道具を数え上げたら切りがありません。年齢や家族構成、生活スタイルの趣向によって道具の取り入れられている割合は違うでしょうが、現在の日本人の生活には、これらの道具たちが当たり前のように存在しています。

私は1979年(昭和54年)生まれですが、私のように生まれた時から靴を履いて育った年代では、西洋のものと日本の道具を区別するのが難しいかもしれません。私よりさらに若い世代では、生まれた時から西洋の道具のみを使っているという人も多いと思います。

西洋の文明が開発した道具は、私たちの生活をとても便利にしてくれています。しかし、先述しましたが、身体の機能の延長である道具の形が違うということは、身体の使い方が違ったということです。次回から日本と西洋の道具の形を比べ、身体の使い方がどのように違ったのかを考えていきたいと思います。まずは下駄と靴を取り上げ、日本人と西洋人の身体の使い方の違いについて考えていきます。

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