夏よりも冬が好きだ

厳しい残暑が続くので冬のお話を。

僕は夏よりも冬が好きです。
ワイワイミンミンわっしょいわっしょいと賑やかな夏も好きですが、
静かな冬の方が好きです。

小さい頃、朝起きてカーテンを開けると辺り一面に雪が積もって真っ白に
なった世界が好きでした。
雪が音を吸収するから地面や壁が音を反射せず静か。
色々な屋根の瓦の色や、お店の看板の文字が全て雪で真白に。

誰も足跡をつけていない路面に自分が初めて足跡をつける楽しさ。
そんなに小さい足でそんなに脚が長くないだろうという歩幅で足跡を
つけたり、途中でジャンプして壁にへばりつき突然足跡を無くしたりする。
この道を後で通った人は驚くだろうかとワクワクする。

雪合戦をする。小学校の野球部エースの雪玉に恐怖を覚える。
速く投げれないヤツは、大きな雪玉を作って玉砕覚悟で接近戦をしかける。
襟を引っ張り服の中に雪を入れる馬鹿がいて風邪をひく。
雪でグチャグチャのままの靴下でコタツに入って怒られる。

雪を食べる。親に汚いから止めなさいと注意されるから、表面をすくって
とって中の雪を食べた。(全然キレイではない。)
屋根にできたつららでチャンバラする。負けないように太くて長い
折れないつららを探す。小さなつららはポッキーみたいにかじってみる。
(そんなに量は食べなかったけれど、よく腹を壊さなかったね。)

雪が降る夜空を見上げると、次々と雪が自分の顔を通過していく。
自分が暗い夜空を進んでいるような錯覚にあい空に吸い込まれていく。

冷たい空気で肌が引き締まって、雪で湿気が多くなった空気を細く長く
ゆったりと吸いこんでいると、呼吸が深くなって頭がスッキリしてくる。
自分が集中できている時の身体の感覚は、この感覚だと思う。

9月に入ってから空の青色が薄くなって、入道雲の輪郭がぼやけてきた。
もうすぐ秋だ、冬が待ち遠しい。

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