治療家と経営者の狭間で

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テナントを借りて、Body Motion Lab(旧幕張ベイ・ストレッチ教室)を経営して、早六年が経った。

頭の中には、治療家としての自分と、経営者としての自分がいて、いつも葛藤している。

治療家としては、新しい専門書をどんどん買って知識を増やしたい。どのくらい自分の技術や知識を突き詰めて高めていけるのか試してみたい。そう考えている。(空手も施術の精度を高めるために自分の身体作りが必要だと思ったのが始めた理由の一つだ。)

しかし、経営者としては、専門書は高価でその知識を入れたところでサービス単価上げれるわけではないでしょう、今の知識と技術でも対応できる患者層は広いし充分でしょう、というように考えてしまう。

マーケット的に考えると、もしかしたら医学的なきちんとした「治療」を求めている人よりも、リラクセーションを目的とした「癒し」を求めている人の方が頭数が多いのかもしれない。多くのリラクゼーションのチェーン店があるのはそれだけ需要があるからだろう。

「癒し」が目的なのであれば、解剖学の知識が薄くてもかまわないし、関節可動域とか筋力テストなんてやる必要がない。患者さんには国家資格をもっているか持っていないかの違いなんて解らない。少数の重症患者を診るよりも多数の軽症患者を診る方が楽だ。

職人のように治療や指導だけやっていた時期はチェーン店を目の敵のようにしていたところがあったが、需要と供給がマッチしているものを批判するというのも大きなお世話かもしれない。自分も経営を勉強してリラクゼーションチェーンのオーナーの気持ちが少しだけ理解できた気がする。

一般の人がまず気にするのは、お店の内装などの雰囲気(お洒落か清潔かなど)、接客態度(接客って言葉はおかしいのだけれども)、施術の快・不快だ。口コミサイトの書き込みを見ているとよく解る。逆に技術に特化した職人型の治療家はここが弱い。

治療家として技術や知識を突き詰めていくと、それを本当に理解してくれる人はどんどん減っていく。九州の某治療家の先生の勉強量は僕から見たら素晴らしいと思うが、一般の人がHP見たら少し胡散臭い変な人に見えると思う。突き詰めていくと自分の世界と外の世界がどんどん離れていく。

そんな孤独感や寂しさからか、チェーン店のような手法をとろうか迷っていた時期がある。でも、自分にはやっぱり難しいようだ。

自分の技術は全ての人には解ってもらえない。それでいい。でも解らない人にも手を抜いてはいけない。人数は少なくても自分の技術を必要としてくれている人はいて困っている。そういう人たちの力になりたい。

六年経ったが、色々なところを見て回って一周して戻ってきた感じがする。
心機一転また一から始めようと思う。

コメント

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