「『しがらみ』を科学する」読書記録

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「頭でっかち」というのは、現実を無視した理論や思い込みで現実を理解しようとする人のことですね。身体に代表される具体的な経験と、頭に代表される抽象的な現実理解との間のバランスがとれていなくて、現実を無視した「理論」だけで現実を理解しようとする人が「頭でっかち」な人です。現場を知らないまま理論を振り回す学者先生というのが、頭でっかちの典型的なイメージでしょう。

「心でっかち」というのは、一人ひとりの気持ちや考え方である「心」がすべての原因だと考えることで、心と現実とのバランスがとれなくなってしまっている状態です。心の持ち方さえ変えればすべての問題が解決すると考える「精神主義」がその極端な例で、その結果、竹やりで戦車に立ち向かうなどといったとんでもない結果を生み出してしまいます。

「頭でっかち」の典型は現場を知らない学者先生ですが、「心でっかち」の典型は、誰にでも受け入れられそうなもっともらしい「説教」を垂れ流している一部の評論家の人たちですね。とくに、現代社会の問題をすべて「心の荒廃」で説明できると考えている人たちです。

「しがらみを科学する 高校生からの心理学入門」 山岸俊男著 ちくまプリマー新書

スポーツの現場でも精神論に居着いてしまう指導者が多いです。
「気合が足りない」だとか「努力が足りない」というのは、じつにズルイ指導者の定型句です。
それで選手から反論があれば、「生意気なことをいうな、校庭を走って来い。」で済んでしまいます。

たしかに選手の練習に取り組む姿勢がなっていないとか集中できていない、練習量が足りない、何も考えずだらだらと回数だけ重ねているといったことはあります。しかし全てを「気合」と「努力」で片づけてはいけないと思います。

選手のモチベーションが下がっているのであれば、憧れのプロ選手の試合を観戦に行くだとか、いつのどんな目標に向かって今はどんな練習をしないといけないのか確認する、コートの外での問題が原因であれば相談にのってあげる、だとか色々な方法を試してみるべきで、「気合」の一言で片づくものではありません。
試合中など時には大声をあげて選手を鼓舞する必要がある場面もありますが、それ以外で指導者が大声をあげている場合は手っ取り早く選手に言うことを聞かせたいだけで、選手が委縮してしまってかえって良いプレーができなくなることもあります。

「努力」についても、練習を積み重ねることは大切ですが精神論の方に偏ってしまうとただキツイ思いをさせているだけのことがあります。きつければきついほど効果があるわけではないのですが、きついと何となくやった気になるわけです。
効果のあるトレーニングも決して楽なわけではないので区別するのが難しいのですが、ただやみくもに練習し続けるのではなく定期的に効果を測定して評価することが重要です。

理論は知っていても自分で実践して選手に手本を見せれない「頭でっかち」な指導者、実践できても自分だけの感覚的な言葉でしか表現できず選手に伝えることができない「身体でっかち」な指導者、全ての原因を精神論で片づけてしまう「心でっかち」な指導者、どれかに偏って居着いてしまうとダメで3つのバランスが大切なんだと僕は考えています。

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