『オープンダイアローグとは何か』読書記録

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医療の現場に対話が失われてきているのではないでしょうか

 重要なことは、オープンダイアローグにおいて「専門性」は必要ですが、「専門家が指示し、患者が従う」といった上下関係は存在しない、ということです。オープンダイアローグとは、専門家と患者が、完全に相互性を保った状態で対話することなのです。

『オープンダイアローグとは何か』斎藤環著より

医療の効率化によってまず先に削り取られたのは患者さんとの対話ではないでしょうか。
整形外科などは一人で寂しいため話を聞いてもらいたい高齢者の方が大勢いらっしゃって、そんな方々の話を毎日全て聞いていては他の患者さんを診れなくなってしまいますし、病院の運営が回らなくなってしまうのも解ります。

しかし、あまりにも安易に『使い過ぎ』『加齢による』『組織の炎症』『腰痛』などという言葉で症状を切り取ってしまうようになりました。患者さんの話を聞かず、患者さんの体に触れず、患者さんと眼を合わさず、診断を下してしまうことが少なくありません。

このような診断(物語)に納得ができなくなってきた患者さんが増えてきているのではないでしょうか。

医師にも患者にも物語を作る力が弱まっている

何でもかんでも、「設定されたゴールに最短時間で到達したものが勝ち」みたいな世の中になってきていると私は感じています。
ゴールまでの過程はなるべく短い方がいい、過程は理解できなくてもいい、最低限の労力で成果を得たい。

しかし、ゴールが明確にわからない場合はどうすればよいのか?
厳密にいうと確実な成功を保証されたゴールなど、どこにも誰にも存在しないのだと思います。

たとえゴールがわからなくても動かなければいけない場面というのは意外と多いです。
でも、ゴールがわからないと動けない、成功を誰かに保証されないと動けない、そんな人が増えてきているように思います。

「対話が目的、治癒は”廃棄物”」(前出より)

 では「治癒」は?そう、もうおわかりのとおり、治癒はオープンダイアローグというシステムの”廃棄物”として生成するのです。
 オープンダイアローグをオートポイエーシスとしてとらえるメリットはいくつかあります。まず第一に「治癒」そのものではなく「対話」をつないでいくことが目標である意味がはっきりします。メンバーは単に環境にすぎないと考えることで、システムそのものを「診断」したり「介入」するわけではないことの意義もはっきりします。「入力も出力もない」以上、そもそも作動に介入することは不可能なのですから。

前出より

過去の症例の統計から、あるていどは回復の過程を計算することは可能です。
しかし、全ての人がその過程に当てはまるわけではありません。

たとえ同じ症状でも年齢、性別、体力レベル、生活習慣、生活環境によって回復にかかる時間が違ってきます。
もし、あなたのクローンがいて、クローンが病気にかかった時のデータがあれば、全く同じ過程を追っての治癒が可能かもしれませんが、今のところ自分のクローンの症例データを持っている人はいないでしょう。

先人達が残してくれた過去の症例データで、ある程度は回復のゴール地点まで道筋を立てることはできますが、ゴールまでの過程は一人一人違うはずです。
私は精神医学の分野については詳しい知識がありませんが、外科医などと比べるとゴール設定が困難なのではないかと思います。

一人一人が「自分の物語」を作っていくために「対話」が必要なのだと私は考えています。
診断だけ下して患者を置き去りにするのではなく、一人で歩けるよう回復するまで(症状がこれ以上悪化しないよう)対話を続けていくことが、これから求められてくるのではないでしょうか。

コメント

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